駆け出しの作曲家が初めてビート制作の依頼を受けた時の話

こちらは駆け出し作曲家・Howling-Indicatorのお仕事日記になります。これから作曲家を目指す人に少しでも参考になる内容になればと思い、キーボードを叩いています。

僕はLo-fi Hip Hopが大好物です。朝でも昼でも夜でも、時間さえあれば「Chillhop Musicチャンネル」を流しっぱなし。おかげでSleepy Fishをはじめ、たくさんの素敵なアーティストと出会えています。

興味がありましたらお聴きください。

普段からLo-fi Hip Hopを聴いているので、一度はビート制作を仕事として請け負いたかった僕。クラウドワークスでご依頼を受けた時のお話を紹介させてください。

依頼内容:参考曲に寄せたビート制作

今回いただいたご依頼はビートの制作でした。納品物はもちろん音源です。「ビート」とは、ヒップホップのラップ以外のBGM部分。一般的な歌モノとは違って、ほとんどは同じコード進行を繰り返します。

一般的な歌モノ構成
イントロ(コード進行①)→Aメロ(コード進行②)→Bメロ(コード進行③)→サビ(コード進行④)
一般的なビート構成
イントロ(コード進行①)→Aメロ(コード進行①)→Bメロ(コード進行①)→サビ(コード進行①)

ほとんどは4小節か8小節を一括りにしたパターンの繰り返しになるので、コード進行さえ決まれば構成はすぐに決まります。

普段からLo-fi Hip Hopのビートを制作していたのが功を奏した

仕事としてビート制作の実績はゼロの僕でしたが、クライアントの作曲家募集にメッセージを送ったところ採用していただきました。

採用理由は簡単です。

採用理由

  • 普段からLo-fi Hip Hopを聴いている
  • ビートを作っている
  • クライアントの作って欲しいビートイメージと合っていた

僕は募集要項に参考曲があれば聴いてみて「これならできるな」と思えば提案させてもらっていますが、「自分ならできます!」のアピールでは採用されません。「どんな曲が作れるのか?」を聴いてもらうのが大事です。

メールに自作曲をmp3で添付してもいいのですが、添付するのも、ダウンロードして聴く方もちょっと手間がかかります。そこで僕は自分のYouTubeチャンネルにアップしてある参考曲のURLを送っています。

ワンクリックですぐに聴けるのでクライアントにとっても便利ですし、僕もURLを貼るだけなので楽になりました。

YouTubeに自作曲をアップしておくと提案&営業で便利

今回は参考曲がピアノメインのビートだったので、こちらの自作曲を伝えました。

「YouTubeに自作曲を公開するのは恥ずかしい」と思うかもしれませんが心配ありません。有名な人のチャンネル以外なら、ほぼ再生されませんから(笑)なのでアンチコメントもありません。

どうしても恥ずかしいなら非公開設定にするだけでOKです。

自作曲をアップしていくと、自分を売り込むためのカタログができていくので面白いですし、提案するときも営業する時も便利です。チャンネル開設はすぐにできるので、ぜひともお試しください。

ビート制作

曲を聴いてもらった結果、速攻で「すっげえいいっす!お願いします!契約ボタンを押してください!」と、とても明るいメッセージが返ってきたので契約完了。

もちろん、相手のイメージと違うこともあって断られることもありますが、気にしない方がいいです。

参考曲をもとにしてビート制作を開始。今回の手順はこんな感じでした。

  1. ピアノメインで8小節のコード進行作り
  2. ベタ打ちをアルペジオに変える
  3. キックとハットだけ打ち込み
  4. アルペジオにシンコペーションを含ませる
  5. 切ない参考曲に合わせてコード&キー変化

キーを変えるだけで曲調が一気に変わる時、いつも不思議な気分になります。

ピアノとバイオリンの相性は抜群で、ビート系にも合うので使ってみると見事にマッチ。

バイオリンの音色選びはいつも迷いますが、ドライな鳴りでポップスに合いやすいSession Stringsがお気に入りです。komplete13をプロにアップグレードしたばかりだったので、pro2の初出場でもありました。

デモでOKが出たのでラストまで突っ走る

1分30秒ぐらいのデモができたので提出。初めてのビート制作依頼だったので不安はありましたが、かなり喜んでいただけて「そのままお願いします!」とOKサイン。

構成はすでに決まっていたので、それぞれのAメロやBメロなどをどう変化させるかです。どんな曲でも最初のAメロと2回目のAメロが全く同じなんてことはないですからね。

曲調の変化のさせ方

  • コード進行を変える
  • ベースの進行を変える
  • ブレイクを入れる

方法は無数にありますが、今回は綺麗に流れるピアノが印象的なビートだったので、適度にブレイクを入れるのが効果的でした。

ひとまずミックス前に全体像を確認してもらい、仕上げ前にちょっとした修正を何回か行っての納品して完了。大変喜んでいただけました。

クライアントと意思疎通する方法を考える

今回のビート制作で感じたのは、自分が知っていることを「相手も知っているだろう」と思わないこと。「Aメロ」「Bメロ」ならわかる方もいらっしゃいますが、ブレイクとか展開の仕方とか、キックの種類となると知らない方がほとんどです。

修正して欲しい箇所があると、伝えからがわからなくてもクライアントはなんとか言語化しようとしてくれるので、作曲家の方で汲み取って、わかりやすく説明する必要があります。

連絡手段がメールだけだとなかなか難しく、細かい修正も入りましたが、最後は意思疎通してバシッと決まったので気持ちよかったです。

Audiostockにアップしている曲は僕一人で作ったものですが、ご依頼からの作曲は自分一人ではなくクライアントと一緒に作るものだと強く感じた案件でした。

ちなみに僕は「この曲のここは、こうするべきです」と自分の意見を言うことはありません。相手が望むものを作るのが作曲家ですから。

ビート制作の実績もできて自信もつきましたし、Applemusicでランキングに入っているゴリゴリのヒップホップを聴いて、販売できるビートの制作もして行こうかと思います。

この記事が参考になれば幸いです。