プロのアーティストを目指す年齢は関係ない!「30歳まで説」を壊す音楽活動の仕方

音楽活動 年齢

「夢を追いかけるのは30歳まで」

誰から聞いたわけでもないのに定説になっている「30歳まで」説。「お笑い芸人になりたい」「女優になりたい」など夢を追いかけている若者たちはたくさんいます。「プロのアーティストになりたい」もそうですね。

「30歳まで」というのは就職のことを考えると、あながち間違いではないような気もしますが、それ以上の年齢になると夢を追いかけてはいけないのでしょうか?

最近では「30歳まで」という定説は崩れつつあるような気がします。プロのアーティストになるのに年齢は関係ないという僕の説を聞いてください。

プロのアーティストを目指すのは「30歳まで説」ができた理由

「プロのアーティストになる」ということは一般的に、「音楽事務所やプロダクションに所属する」ということです。

アーティストは「音楽で食べていく」のが目標で、音楽事務所は「アーティストを利用して会社の利益を上げる」だけでなく、「アーティストを音楽で食べさせていく」のも仕事なのですが、確実に売れるアーティストは存在しませんし、どれだけ宣伝しても売れるとは限りません。

凄腕のプロデューサー、ディレクター陣に囲まれたとしても、100%売れるアーティストなど存在しないので、「売れなかったらどうするか」というリスクを考えてみると、「30歳オーバーのアーティストを所属させるのは難しい」と考えるのは当たり前です。

「アーティストを預かる」というのは、その人の「人生を預かる」ということ。若い方がいいのは間違いありません。

若いアーティストなら失敗してもやり直せる

20歳やそこらの若者なら、売れなくても仕事なんて探せばいくらでもあるので、路頭に迷うことはありません。では30歳を過ぎたアーティストならどうでしょうか。

鳴かず飛ばずの状況になった時には仕事を探すしかないのですが、履歴書に職歴を書くことができない30歳オーバーを雇ってくれる会社は非常に少ないです。

夢を叶えることもできず、職に就くこともできない。未来に絶望したアーティストの末路はどうなるか。言いたくはないので想像してください。

若ければやり直しは効きますが、歳をとっているアーティストはやり直しがきかず、どん底の未来が待っています。そんなリスクを背負わせたくないでしょうし、売れさせる自信もなかったりするから、音楽事務所は若いアーティストしか所属させないのでしょう。

売れるまでには相当な時間がかかる

「売れるまでの時間」を考えてみると、「30歳まで」という説も理解できます。売れるまでにどれぐらいの時間がかかるのか、ひとまずのゴールを「日本武道館でのライブ」に設定して考えてみましょう。

日本武道館
日本武道館 ─ Wikipediaより

オーディションなどで合格して事務所に所属し、プロとして下積みをしていって、小さなライブハウスから始めて動員を増やしていくことから始まりますが、200人のキャパですら埋めるのは難しいです。

僕が活動していた当時は、ビラを配ったりポスターを作って貼ってもらったりと、脚を使うのがメインでした。いまではネットの力を借りて宣伝することもできるとは言え、「200」という数字は大きく、アマチュアだと30すら難しい数字です。

日本武道館のライブを成功させるには10000人の動員は必要

徐々に動員が増えて知名度も上がり、音源やグッズが売れるようになって事務所が「今ならいける」と決断してのタイミングでやっと武道館です。日本武道館は、音楽ライブなら満員にすると10,000人程度だと言われていますが、ここまで到達できるアーティストはどれぐらいいるのでしょうか?最低でも5年か、10年かかってもおかしくありません。

20歳でプロになれたとしても、ゴールに辿り着く頃には30歳。音楽事務所が「若い人」しか所属させない理由もわかりますし、中高生メインのオーディションを開催する理由もわかります。こうして「30歳まで説」が生まれたのでしょう。

しかし時代は変わり、プロのアーティストになるのに年齢は関係なくなりました。一度、夢を諦めたあなたでもプロになれる可能性はあります。

プロダクションに所属しなくてもプロのアーティストにはなれる

30歳を過ぎてしまったアーティストを所属させてくれるプロダクションは非常に少ないだけでなく、20代でも半ばぐらいになると躊躇することもあるのだとか。だからこそ高校生ぐらいのアーティストをオーディションしているプロダクションが多いのでしょうか。若ければ若いほど有利なのは間違いありません。

では、「プロダクションに所属するメリット」は何があるのでしょうか?

  • 給料制なら曲が売れなくてもお金は入ってくる
  • 営業・宣伝活動をしてくれる
  • ライブの手配やファンクラブの運営
  • レコーディングやスタジオ使用料を負担

今時、ここまでしてくれるプロダクションは少ないとは思いますが、所属するメリットはたくさんあります。

でも、自分たちでできることはたくさんありまし、プロダクションに所属しなくてもプロになることだってできるのです。

営業・宣伝活動はネットでできる時代

昔なら営業・宣伝活動はポスターを作ってお店などに貼ってもらったり、ビラを作って配ったり。足を使う活動がメインでしたが、今はネットで宣伝する時代です。ブログやホームページ程度なら簡単に作れるようになりましたし、気軽に利用できるSNSも豊富。しかも無料で簡単に宣伝できる時代なのです。

自主レーベルなら誰でも作れる

レコードレーベルぐらいなら自分で作ることもできますし、CDも自作できます。レーベルの作り方なんて、名前をつけるだけで終了です。どこかに登録する必要もなければ、お金がかかるものでもありません。レコード会社としてやっていくのなら話は別ですが、誰でもできることです。

配信ならCDを作る必要もない

レコードレーベル
レコードレーベルの例

また、現代の音楽は配信がメインになっているためプレスをする必要もなく、経費も大幅に削減できます。音源の販売を配信オンリーにすると、CDを作る必要もありませんし、流通のことを気にする必要もありません。

物販用としてCDを販売したいのならプレスする必要はありますが、100枚以内ならPCを利用して自作するのが安上がりです。CD盤面のプリントや、ジャケットの制作。歌詞カードなどなど、何でもかんでもこだわりすぎると経費も時間もかかるため、業者にお願いしたほうが安上がりになることもあります。

ちなみに、音源の配信はプロ・アマチュア問わずに誰でもできます。各音楽配信サイトにまとめて登録してくれるサービスもあるので、積極的に利用していきましょう。

TuneCore Japan – あなたの音楽を世界に。

あなたの楽曲を iTunes, Apple Music, Spotify, Amazon など世界185ヵ国以上で簡単に販売・配信。権利はそのまま、収益は100%還元。 アーティスト・レーベルのための音楽配信流通サービス TuneCore(チューンコア)。

www.tunecore.co.jp

面倒な部分は人にお願いするのもアリ

バンドで活動しているのなら、仕事の担当をメンバーと振り分けることで負担を減らすこともできますが、メンバー以外の人に頼むのもアリです。WEB系なら業者にお願いしたり、スケジュールやライブハウスの手配なら、マネージャー代わりになるメンバーを見つけてお願いするのもアリです。

お金をかけたくないのなら、友達にお願いしてみたりと方法はいくらでもあります。やることはたくさんあって大変ですが、できないことではありません。それだけプロダクションのスタッフも苦労しているということですね。

すべて自分たちでするのなら年齢は関係ない

プロダクションに所属せずに活動していくのなら、年齢は関係ありません。30歳でも40歳でも、それ以上でも音楽活動をしてプロを目指すことはできます。もちろん、収入は必要になるので「本業をしながら」という形にはなります。

プロになってからも、「本業とアーティスト」という2足のわらじを履くことだってできます。銀行員をしながら、公務員をしながらアーティストとして活動することもできるのです。

年齢が気になるのなら「顔出しNG」にしたらいい

30歳を過ぎているのに「プロになりたい」と活動している大人のことを、世間は批判したりバカにしがちです。そのため年齢を気にする人もいるかもしれませんが、顔を見せなければいいだけの話です。「顔出しNGアーテイスト」もいますし、年齢のことで面倒なことを言ってくる人なんて、気にしないほうがいいです。

ライブ活動をするのは難しいかもしれませんが、方法はあります。

覆面バンドなら顔を見られることもない

「顔出ししたくないけどライブがしたい」ということでしたら、覆面でも被ってみませんか?昔と比べてみると覆面バンドって増えたような気がします。

MAN WITH A MISSION 『Dark Crow』

実物がわからないぐらいに化粧するのもいいですし、やりようによっては誰にもバレずにアーティストとして活動するもできます。

ストリーミングライブだけに徹して、後から加工することもできます。知識は必要になりますが、AR技術を利用することで、豪華なライブにすることもできますね。

おじいさん・おばあさんのバンドが出現することを望みます

「プロダクションに所属する」という考え方を捨てると、年齢は関係なく誰だってアーティストになれます。今は全てセルフプロデュースできる時代なのです。学生時代にバンドをやっていて、今は社長業をしている人でも、会社を定年退職した65歳の男性でも、3人の孫がいるおばあちゃんでもアーティストになれます。

見た目に不安があるなら覆面をしてもいいですし、全身タイツを着ても構いません。楽曲が素晴らしければライブなどで露出する必要すらないかもしれません。ゴリラズのような手法も使えますし、「謎のアーティスト」という評判が広がる可能性だってあります。やりようは無限大なのです。

プロモーションは自分たちがすることになりますが、ネットに明るければYoutubeやSNSも利用できます。昔と比べると宣伝できるツールはたくさんあるだけでなく、無料で利用できるものもたくさんあり、使い方も難しくないという。活動しやすい環境は整っています。

定年退職して時間が余っているのなら、アーティスト活動はいい後世にもなるでしょうし、いい趣味にもなります。ネット活動に疎いなら息子や娘、孫から教わるといいコミュニケーションにもなりますね。

「最近、うちのじいちゃんがヘビメタ始めてさ~」なんて会話が、小学校の教室から聞こえてくる。そんな微笑ましい時代が来ることを期待します。