クリスマスソングの効率のいい作曲方法

AudiostockなどでBGMの販売を始めるようになってから、「季節モノ」「イベントモノ」のBGMを意識して作るようになりました。クリスマス系のBGMも、そのうちの一つです。

利用者は映像製作者が多いことから、クリスマスの2ヶ月前ぐらいから着手するようにしていますが、なかなか手が進まず、いつもギリギリになったりします。

クライアント案件では締め切りを守っていますが、ストックミュージックだと期限がないので、サボりがちになりますね。

「これではいかん」ということで、クリスマスBGMの制作に手をつけていくわけですが、効率よく作曲するために「頭の中を整理する」ことも含めて、僕なりの作り方を紹介します。

著作権切れのクリスマスソングをカバーする

クリスマスBGMに最も重要になるのは、「クリスマス感」です。曲を聴いただけで「クリスマスだな～」と感じさせることができれば、成功なのではないでしょうか。

その「クリスマス感」を出すためには、パブリックドメインになっているクリスマスソングをカバーするのが一番手っ取り早いです。

エレクトロ系が得意な人なら、ジングルベルをEDMにしてみたり。ジャズ系が得意なら、ジャズ風にアレンジするのも面白いです。

著作権は切れているので販売もできますし、YouTubeなどでの配信もできます。コード進行はこちらの記事で紹介しているので、参考にしてみてください。

鈴の音を入れるとクリスマスソングっぽくなる

僕は10年以上、放送局でBGMの選曲を担当していました。クリスマスソングは毎年、200時間以上は聴いてきたでしょうか。

その上で確信を持って言えるのですが、ゴリゴリのメタルやヘビーなロック、コテコテのヒップホップなど「ダークな曲」を除けば、曲に鈴の音を入れだけでクリスマスソングっぽくなります。

クリスマスソングをイメージしてください。「シャンシャン」という鈴の音が鳴っていませんか？

イメージの例

イントロで鈴を鳴らして、あとは明るい雰囲気の曲にするだけ。これで、クリスマスソングっぽくなります。

癖が強い曲だと鈴の音が負ける

「鈴さえ鳴らせばクリスマスソングっぽくなるのでは？」と思い、いくつかのジャンルで試してみました。

ダーク系の曲は無理があるのはすでに述べていますが、では「明るい曲ならいいのか？」と言えば、そうでもありません。

吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」を流しながら、鈴の音を入れてみたのですが、とてもとてもクリスマスソングっぽくは聴こえず。さすがの鈴の音でも、クセの強い曲には通用しないようです（笑）

オルゴールと鈴の組み合わせでクリスマスソングに

個人の感覚にもよりますが、オルゴールと鈴の組み合わせは、かなりクリスマスっぽくなります。クリスマスは一般的に「ハッピーなもの」なので、キーはメジャーキーにしておけばOKでしょう。

これぐらいにシンプルなコード進行でも、クリスマスっぽくなります。

「シャンシャン」という鈴の音だけではなく、「カーン」という鐘の音を加えてみると、さらにクリスマスっぽくなり、「聖なる夜」の印象も表現できます。お試しください。

定番のクリスマスソングを参考にする

誰もが聴いたことがあるような、「定番クリスマスソング」も参考になります

例として、山下達郎「クリスマス・イブ」のコード進行を書き出してみましょう。

コード進行はそのまま使っても著作権の問題はありません。オリジナルのメロディーをつけて、曲を仕上げる方法もありますし、リズムだけ拝借してメロディーをつけるのもありです。

コード進行を拝借するだけでも、なんとなく「聞き馴染みのある曲」になるので、結果的にクリスマスソングっぽくなります。

ただ、あまりにも原曲と似通ってしまったり、参考のレベルを超えてしまうと問題になるので気をつけましょう。

最新のクリスマスソングっぽくしたいならトレンドを参考にする

定番になっているクリスマスソングは、古いものがほとんどになります。そのため参考にしてみると、「ちょっと古くさい」と思うかもしれません。

そこで、定番になりそうな最新のクリスマスソングを紹介します。コード進行ものせておくので参考まで。

#Merry Christmas なにわ男子

ジャニーズグループ「なにわ男子」が2022年にリリースしたシングル「ハッピーサプライズ」のカップリング曲「#Merry Christmas」は、ポップで可愛い、アイドルらしいクリスマスソングです。

ざっくりサビだけコピーですが、コード進行は王道系。あとは16ビートでメロディーを跳ねさせると、かなり明るい曲になり、鈴やオルゴールの音を入れると、一気にクリスマスソングっぽくなるでしょう。

クリスマスイブ 優里

「ドライフラワー」でご存知の優里による「クリスマスイブ」は、2022年にリリースされた配信限定シングル。切ない曲調ながらも、力強い優里の歌声が印象に残るクリスマスソングになっています。

ざっくりサビだけコピーです。コード進行は王道系をいじっていて複雑。もっと簡単にしてみてもいいかもしれません。

例えばこんな感じです。

｜G# A#｜Gm Cm｜Fm G7｜Cm7 C7｜

｜G# A#｜Gm G7｜G#｜G#m｜

一度シンプルにしてみてメロディーを作り、そこからコード進行を変えていくのも、面白いかもしれません。

silent SEKAI NO OWARI

「silent」は2020年にSEKAI NO OWARIがリリースしたシングル。TBSのテレビドラマ「この恋あたためますか」の主題歌で、切なさがあふれるクリスマスソングになっています。

サビの一部をざっくりコピー。面白いコード進行ですね。途中で現れる「5m」の響きが切なくもあり、どこか優しさも感じます。少し、Mr.Chindrenの「くるみ」とも似ていますね。

ストリングスも入れてみると、感動も呼べる曲になるかもしれません。クリスマスソングなのでもちろん、鈴の音もお忘れなく。

ホワイトキス 鈴木鈴木

「ホワイトキス」は兄弟ユニット「鈴木鈴木」によるクリスマスソング。R&Bっぽさもあり、アイドルソングっぽくもある、切ないながらも明るさもあるクリスマスソングになっています。

サビだけざっくりコピー。ギターで作曲しているのなら、カポを1フレットに。鍵盤楽器なら非常に面倒なので、#は取っ払ってもいいかもしれません。

Party Night miu

「Party Night」はシンガーソングライターのmiuが2021年にリリースしたクリスマスソング。「天使の声」と評される彼女の優しい声が心地よい、ポップで切ない曲になっています。

コード進行は王道系。ビートにトラップを入れると原曲とかなり似てしまうので注意が必要になりそうです。

ぜったくん Gaming Party Xmas

「Gaming Party Xmas」は、ラッパー / トラックメーカーの「ぜったくん」が2020年にリリースしたクリスマスソング。

定番のクリスマスソング「もろびとこぞりて（Joy ti the World）」のファミコン音源から始まる、かなりハッピーで明るい曲になっています。

サビの一部だけざっくりコピー。このコード進行でアップテンポにして、さらにシャッフルにすると、かなりハッピーな雰囲気のクリスマスソングになるはずです。

gift socks  Rin音

「gift socks」は2020年にリリースされた、Rin音の初となるクリスマスソング。少しLofiの入ったビートが心地よく、温かみを感じる曲になっています。

サビのコード進行をざっくりコピー。「5m」が登場すること以外は、いたってシンプルな進行です。歌ものでもいいですし、Lofiのインストにしても面白そうです。

ちなみに全部の曲に対して言えることですが、メロディーは耳コピしてのせるのはかなりの労力になるので、耳コピできない方は、譜面を購入することをオススメします。YAMAHAの「プリント楽譜」なら安心です。

リスナーの心に届くクリスマスソングを作ろう

定番のクリスマスソングを聴いている限り、日本では「切ない曲」が好まれているように感じます。「失恋」と「クリスマス」を組み合わせると共感されて、売れるのかも？しれません。

BGMに関しては、明るくてハッピーなものが好まれるのではないでしょうか。テレビやYouTubeなどメディアは関係なく「もうすぐでクリスマスがやってくる」みたいなナレーションとともに流れるのは、明るい曲ですからね。

あとはとにかく、「鈴の音を入れる」です。それだけで一気にクリスマスっぽくなるのですから。

多くのリスナーの心に残るクリスマスソングを作っていきましょう。