客観的に見つめ直そう!バンドのクオリティーアップにつながるレコーディングのススメ

「音楽で食っていきたい」とプロになるためにバンド活動をしていると、個々の演奏力に問題が出てきます。全員が経験者で腕もたつのなら問題ありませんが、プロですらイマイチのプレイヤーはごまんといるぐらい。練習をしていないのか、自分の実力が上がっていて差を感じてしまうこともあるはず。

ボーカルが飛び抜けて歌が上手く、ビジュアルも端整。華もあるのなら他のメンバーの腕は「そこそこ」でも十分に通用するかもしれませんが、アマチュアバンドならプロになるため個人個人が腕を磨く必要が絶対にあります。「音源を売るビジネス」が下降していてライブの収益が上がっている現状を考えてみればわかるように、「そこそこの演奏力」では通用しないのです。

リズムに問題のあるアマチュアアーティストはたくさんいます。クリックやメトロノームを聴きながらテンポを取るという基礎練習はしているのでしょうか。録音してリズムがずれていないかチェックしているのでしょうか。

ボーカルならピッチの確認はしているのでしょうか?コーラスが入るのなら、きちんと合わせているのでしょうか。録音してキーボードでメロディーをなぞってみると、一発でわかります。

「リズムはドラム任せ」「ドラムがずれているからこちらもズレる」なんて言うプレイヤーもいるようですが、それもとんでもない話です。全員のリズムがあって、初めてグッと締まるグルーブが生まれます。

リズムがピッタリあった時の快感は凄まじいものがあります。音量のバランスもあっていればライブでは無敵状態になれますし、観客は思いっきり盛りあがります。あの快感は、経験したことのある人にはわかるはず。

毎回そのような演奏を心がけたいところですが、そう簡単にはいきません。普段から個人個人で練習するべきですが、自分の悪いところもいいとこも、全体としてのダメなところも全て見つけて改善することができれば、最高のグルーブが生まれ、バンドとしての実力も上がるのは間違いありません。

そのためにレコーディングをお勧めしたいのです。

目次

アマチュアバンドにレコーディングをお勧めする理由

僕がアマチュアバンドにレコーディングを勧めているのは、自分のダメなところを確認できるからです。

プロを目指しているプレーヤーの中には、「自分のプレーは最高だ」「俺は歌がうまい」などなど、自信を持っている人もいます。バンドを始めたばかりでレコーディングの経験もない人ほど、自信満々な人が多いような気がします。実際にすごいプレーヤーなのかもしれませんが、ほとんどはダメダメな人ばかり。なのに自信満々なのは、自分の演奏を客観的に聞いたことがないからです。

レコーディングをして聴いてみると、ドラムはリズムがズレていたり、ベースはミストーンが多かったり、ギターはドンシャリにこだわりすぎて音が聞こえず、ボーカルはピッチがズレている。全部よくあることで、自覚していないだけだったりします。

レコーディングしたものは、どうやっても客観的に聴くしかありません。自宅で自由に練習していた人たちが凹む瞬間。これがレコーディングの現場だったりもします。

レコーディングしてメンバーのダメ出しを行う

レコーディングは自分の演奏を客観的に聴けるだけではなく、メンバーの演奏もじっくりと聴くことができます。普段のリハーサルでは気づかなかったこと、例えばバスドラムが入る位置だとか、ベースのフレーズやギターの音色に疑問を感じることもあったりします。

自分の演奏が良ければ、それでいいというわけでもありません。メンバーでダメ出しをしていって、より良い曲にアレンジしていきましょう。

第3者のレコーディングエンジニアから意見も聞ける

演奏を聴いているのはメンバーだけではありません。レコーディングエンジニアも聞いています。様々なアーティストのレコーディングをしてきたエンジニアなら、意見を出してくれることもあります。

曲の良し悪しに関しては何も言ってくれませんが、音色や音の重ね方、ちょっとしたアレンジ案なら提案してくれます。経験豊富な第三者の意見なら貴重なので、気軽に意見を求めてみましょう。

口の悪いエンジニアの意見はありがたく聞きましょう

昔は口の悪いレコーディングエンジニアもいて、「下手くそだねw」とか「リズムボロボロだねw」なんて言われることもありました。彼らなりの優しさだったのかもしれませんが、レコーディングをして自分たちの実力を知るのはとても重要なことです。今後の課題も見えてくるので、冷静になって意見を聞き入れてください。

勘違いアマチュアバンドが多数!レコーディングを行う前の心構え

レコーディングをする上で気になるのは費用の問題です。1曲を3時間ぐらいで収録し、ミックス・マスタリングまでお願いすると6~7万円ぐらいが相場でしょうか。

ライブで十分な収益を上げているバンドならいいものの、アマチュアバンドなら「高いなあ」と感じてしまう金額ですね。もしも赤字になるライブを繰り返しているぐらいなら、レコーディング費用にあてたほうがいいのは間違いないのですが、しっかりと計画を練らないと余分に費用がかかったり、無理な計画のせいで「しょぼい音源」になってしまいます。

まずは、アマチュアバンドにありがちな勘違いを修正しましょう。

有名アーティストの真似をしてはいけない

有名アーティストのようにスタジオに籠ってミーティングをしたり、アレンジ案を話し合うような時間はありませんし、お金もありません。彼らは数週間~数ヶ月もレコーディングスタジオを借りる資金があったり、プロダクションから全額出ているだけです。

たまに、コンソールルームでアレンジ案を長時間話し合っているアマチュアバンドもいるそうですが、完全にお金の無駄です。アレンジはしっかりと固めた上でレコーディングに臨みましょう。

レコーディングは1曲3時間を目安にしよう

「俺たちって超すごいバンドじゃね?」というアマチュアバンドほど、レコーディングを勘違いしています。未経験なら「3時間もあればアルバムができる」なんて言うこともあるそうです。シンプルな構成でシンプルな曲。メンバーも3人で腕も立つのならミニアルバム程度なら作れるかもしれませんが、ほとんどはどれだけ頑張っても3曲程度で終わりです。しかも、リズムやボーカルのピッチがズレていたりする。そんな音源を誰が買うのでしょうか。

「レコーディングなんて楽勝っしょ!」なんて考えているアマチュアに限ってボロボロのレコーディングになる。エンジニアがよく口にしていることです。

相当腕が立つのなら話は別ですが、レコーディングは「1曲あたり3時間」を目安に計画してください。

編集に頼らずにしっかりと練習しておこう

現代のレコーディングはDAWソフトを利用するのが一般的で、スタジオによっては高級なソフトやプラグインも完備されているため、リズムのズレ・ボーカルのピッチは修正できるようになっています。ギターやベースなどの音色も後から変更できるので、はっきり言ってしまえばボロボロの演奏をしても、上手なバンドの演奏に編集することもできます。

でも、「編集でどうにでもなるから」と手抜きのレコーディングをするのはお勧めできません。ライブで必要になる演奏力は上がらず、手抜きになって士気もないレコーディングになり、グルーブ感もない音源になってしまいます。

また、修正するにも時間は必要ですし、お金はかかります。一発録音でOKを出せるぐらいに練習をしてからレコーでディングに臨みましょう。

限られた時間・費用のためにレコーディング計画を練る

レコーディングはお金がかかりますし、時間も限られています。どう進めていくか、しっかりと計画を練っておきましょう。

主な選択肢は3つあります。

  • 各パートを別々にレコーディングする
  • 楽器隊は一緒にレコーディングしてボーカルは別録
  • 全パートを一斉にレコーディング

それぞれにメリット・デメリットがあるので紹介します。

各パートを別々にレコーディングする

一番時間はかかりますが、音被りがないので修正しやすいのが各パートを別々にレコーディングすることです。ほとんどのアーティストは、この流れでレコーディングしていきます。

ドラム→ベース→ギターなどの上物→ボーカル→コーラス

デメリットというほどではないのですが、別々にレコーディングするとグルーブ感が薄れてしまいます。そこでオススメなのは、ドラム&ベースのリズム隊は一緒にレコーディングしてしまうことです。これによってグルーブ感が出てきます。

楽器隊は一緒にレコーディングする

全体的に腕前がいいのなら楽器隊は一斉にレコーディングして、ボーカルは別録が一番良さそうです。楽器編成が少なくて、歌モノのバンドならボーカルに時間をかけることもできますね。

リズム隊のみでレコーディングするよりもグルーブ感は増しますが、誰かがミスると全員やり直しになります。しっかりと練習をしてから臨みましょう。

全パートを一斉にレコーディングする

プレーヤーとしてのスキルが全員高く、グルーブ感を重要視するのなら全パートを一斉にレコーディングしてみましょう。一番時間がかからないので費用も抑えられますし、勢い重視のパンク系なら多少のズレはいいアクセントになります。こちらも楽器編成の少ないバンドにオススメです。

ただし、大縄跳びと同じように誰かがミスるとやり直しになります。音被りがあって個々の修正をしにくいのもデメリットです。

レコーディングエンジニアに相談しておく

レコーディング方法に確実な正解はありませんが、どうしたら効率がいいのか、自分たちの色が出るのかを話し合ってみましょう。ほとんどは上の3つの中から選ぶことになるので、どういうタイプのバンドなのかを分析してください。

きちんとしているレコーディングエンジニアなら、事前にデモ音源を聞いてくれて、レコーディング案を出してくれることもあります。相談に乗ってくれるエンジニアなら、遠慮なく相談してみましょう。

レコーディングの前にプリプロを行う

すでにお伝えしているように、レコーディングスタジオでアレンジ案を考えるのは時間の無駄です。演奏をミスって周りに迷惑をかけないように練習しておくのはもちろん、アレンジは全て終えた状態でレコーディングをしてください。

オススメなのはプリプロです。リハーサルスタジオを長時間借りて、レコーディングと同じようにしてください。個別に録音できないならスマホなどでバンド演奏を録音して、全員で聴きながらアレンジしていきましょう。メンバーに気をつかわずに、ダメな部分はしっかりと指摘することが大事です。

忘れ物はありませんか?レコーディングに必要なものリスト

レコーディング当日までにやっておくのは練習やアレンジ、プリプロだけではありません。事前に用意しておくものもあります。円滑に進めていくために準備しておきましょう。

自分たちの楽曲CD・楽曲データ

事前の知識なしに「今からレコーディングしてください」ではエンジニアも困ります。何をレコーディングしたいのか、エンジニアに自分たちの音源を渡しておきましょう。

しっかりとしたものである必要はなく、リハーサルで録音したものや、ライブの映像も大丈夫です。どういう曲なのかがわからないとエンジニアは困るので、事前にメールで送っておくと安心です。音声ファイルを送るか、soundcloudなどでアップロードしているのものならそのURLを、ライブ映像をYoutubeなどで公開しているのなら、そのURLを伝えておきましょう。

レコーディングの1週間前ぐらいに伝えておくと安心です。

曲の譜面や進行・構成表

レコーディングを円滑に進めるため、楽譜も用意しておきましょう。市販されているような楽譜を用意する必要はありません。構成とコード進行がわかる程度のもので十分です。例として進行表を紹介しておきます。

シンプルなものでも音源とセットなら問題ありません。

ミックス・マスタリングの参考になる音源

最終的な仕上がりがイメージできる音源も用意しておきましょう。多数の音楽を聴きこんでいるエンジニアなら、「○○というアーティストの○○という曲」と伝えるだけで、ミックスもマスタリングも似たような形で仕上げてくれますが、知らない可能性もあるので、参考楽曲のCDや音源を渡してあげましょう。

消耗品・トラブル防止の備品

ボーカルならレコーディングの前日から声の調子を整えておくこと、ベースやギターなら弦の張替えをしておくのも当然ですが、レコーディング当日に弦が切れたりスティックが折れたりなど、トラブルが起こる可能性もあります。替えの弦やドラムスティック、替えの備品(シールドなど)も持っていきましょう。

レンタル機材はしっかりと確認

一通りのものはレコーディング費用に含まれているので無料でレンタルできますが、アンプなら持っていない人も多いはず。使い慣れていないアンプを初見で利用するのは音作りに時間がかかってしまうため、よろしくありません。事前に確認しておき、同じ機材のあるリハーサルスタジオなどで利用して、音作りをしてメモを残しておきましょう。

アンプヘッドやスピーカー、ボーカルマイクなど愛用しているものを持っていくのは構いません。

レコーディングスタジオにこだわる必要はない

ここまでレコーディングを勧めてきましたが、レコーディングスタジオにこだわる必要はありません。要は、普段の練習から録音するようにして、それを聞いて反省点を見つけて改善できるようにしたらいいのです。スマホを持っていれば個人の練習だけではなく、リハーサルだって録音できます。各自、スマホで録音して家に持ち帰って聴く。帰りにファミレスで聴きながらミーティングをするのもありです。

DTMの知識があるメンバーがいれば、リハーサルスタジオを借りてレコーディングすることもできるので、費用を大幅に削減することもできますし、ボーカルやドラムなどの大きな声・音がでる楽器以外なら自宅で録音できますし、デモ程度の音源なら作ることもできます。

自宅なら時間を気にしないでアレンジ案を出し合うこともできますし、「ちょっと試してみよう」なんてフレーズだって録音できるのでオススメです。

レコーディング・DTMを趣味としてやっているメンバーを見つける

バンドメンバーを募集する「メン募」では、エンジニアを希望している人を見かけることもあります。レコーディングエンジニアになりたいのか「まだ初心者なので無料で請け負います」という人もいるので、メンバーに迎えて全部やってもらうのもアリです。

客観的に演奏を聴いてくれるので、参考になる意見も出てくるでしょうし、付き合いが長くなってくれば、どういう風に音源を仕上げたらいいのか一番理解してくれるメンバーにもなり得ます。ライブのミキサーとしても付き合ってくれれば、ライブの出来も良くなるのではないでしょうか。

自分たちを客観的に見てアーティストとしてのクオリティーを上げていこう

自分たちで「俺たちサイコー!」なんて思っていても、他人が聞くと「そうでもない」なんてことはよくあります。だからこそ、自分たちの曲や演奏を客観的に聞くことは重要なのです。個人練習でもスタジオでのリハーサルでも、録音できる環境があればレコーディングをして聴いていきましょう。アーティストとしてのクオリティーを上げるために必要不可欠なことです。

レコーディングは自分たちの欠点を教えてくれます。放っておくと大きな穴になっていくので、早めに埋めておきたいところ。普段からレコーディングをするようにして、客観的に自分たちを見つめていきましょう。

DTMに興味があれば無料で利用できるソフトもあるので、一から勉強してみるのもありですが、理想は「無料でやってくれるメンバー」を見つけることです。昔よりもDTMの人口は増えてきているので、探せば見つかるかもしれません。

各パートの音源さえ用意できれば、ミックスからマスタリングまではやってくれる人もいるので、レコーディングには立ち会えないまでも、ネット上のやり取りで音源を作ることだってできます。

バンドというと楽器隊とボーカルのメンバーしか思い浮かばないものですが、レコーディングをしてくれる人もいれば、ウェブサイトを作ってくれる人もいます。ポスターなどのデザインや、ビラを作ってくれる人だっています。必要なこと全てをバンドで賄っていくのもいいかもしれませんが、支えてくれる人は確実にいます。積極的に募集していきましょう。